旧耐震・築古マンションは売れる?|売りにくい理由と「それでも売る」5つの選択肢
公開日: 2026年6月26日
旧耐震・築古マンションは売れる?売りにくい理由と「それでも売る」5つの選択肢
「親から相続したマンションが築40年を超えている」「旧耐震だと聞いて、売れるのか不安」——築年数の古いマンション、とくに旧耐震基準で建てられた物件は、買い手の住宅ローンや耐震性への不安から、通常のマンションより売りにくいといわれます。
ただ、「売れない」のではなく「売り方に工夫がいる」というのが実際のところです。この記事では、旧耐震・築古マンションが売りにくいとされる理由と、それでも売るために取れる選択肢、売却前に確認しておきたいポイントを整理します。
旧耐震・築古マンションとは
「旧耐震」とは、1981年(昭和56年)6月1日より前の耐震基準で建てられた建物を指します。建物の建築確認をこの日より前に受けたものが旧耐震基準、以降のものが新耐震基準にあたります。
両者の考え方の違いはおおまかに次のとおりです。
| 旧耐震基準 | 新耐震基準 | |
|---|---|---|
| 適用 | 1981年5月31日以前の建築確認 | 1981年6月1日以降の建築確認 |
| 想定する地震 | 震度5強程度で大きく損傷しない | 震度6強〜7程度でも倒壊しない設計を目標 |
| 売買での扱い | 住宅ローン・減税で不利になりやすい | 比較的スムーズ |
注意したいのは、**判断の基準が「完成・入居の年」ではなく「建築確認を受けた日」**だという点です。竣工が1982年でも、建築確認が1981年5月以前なら旧耐震に分類されることがあります。築年数だけでなく、登記簿や建築確認の日付で確認するのが確実です。
なお「築古マンション」には明確な定義はありませんが、一般には築30〜40年以上の物件を指すことが多く、旧耐震マンションはその多くが該当します。
旧耐震マンションが「売りにくい」とされる理由
築古・旧耐震マンションが通常の物件より売りにくいとされるのには、主に次の理由があります。
買主の住宅ローンが通りにくい
中古マンションを買う人の多くは住宅ローンを利用します。ところが旧耐震・築古物件は、金融機関の担保評価が低く出やすく、希望額の融資がつかなかったり、融資自体に消極的だったりすることがあります。長期固定のフラット35では、利用にあたって住宅の技術基準(耐震性を含む)を満たす必要があり、旧耐震物件はそのままでは基準を満たさない場合があります。
買主がローンを組みにくいということは、現金で買える層など買い手が限られることを意味し、その分売りにくさにつながります。
住宅ローン控除など買主側の減税で不利になりやすい
買主が受けられる住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、中古住宅の場合、登記簿上の建築日が1982年1月1日以降であること、それ以前の物件では耐震基準適合証明書などで耐震性が確認できることが要件とされています(2022年の制度改正による。2026年6月時点)。
旧耐震マンションはこの「建築日」の要件を満たさないことが多く、買主が減税を受けるには後述の証明書取得などの手間が必要になります。買主にとっての魅力が下がりやすい、というわけです。
耐震性・老朽化への不安
旧耐震という言葉自体が、買い手に耐震性への不安を抱かせやすいのも事実です。あわせて、給排水管などの設備の老朽化、大規模修繕の履歴、修繕積立金が十分に積み立てられているかといった点も、築古物件では買い手が慎重に見るポイントになります。修繕積立金が不足していると、将来の一時金負担への懸念から敬遠されることがあります。
旧耐震・築古マンションは「売りにくい傾向がある」だけで、立地が良ければ需要は十分にあります。都心や駅近の物件は、古くても土地としての価値や利便性が評価され、買い手がつくことは珍しくありません。売りにくさの度合いは、立地・管理状態・価格設定によって大きく変わります。
それでも売る:5つの選択肢
旧耐震・築古マンションを売る方法には、主に次のような選択肢があります。物件の状態や急ぎ具合に応じて使い分けます。
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仲介で現況のまま売る 不動産会社に仲介を依頼し、市場で買い手を探すもっとも一般的な方法です。立地が良ければ古くても売れますが、買い手のローンや減税の制約を踏まえ、相場と価格設定を慎重に見極める必要があります。
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耐震基準適合証明書を取得してから売る 耐震診断を受けて基準を満たすこと(または耐震改修で満たすこと)を証明できれば、買主の住宅ローンや住宅ローン控除のハードルが下がり、売りやすくなる場合があります。ただし診断・改修には費用と時間がかかり、すべての物件で取得できるとは限りません。
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不動産会社による買取 不動産会社が直接買い取る方法です。仲介より価格は低くなる傾向がありますが、買い手のローン審査に左右されず、現況のまま短期で売却できるのが利点です。築古・訳あり物件を専門に扱う会社もあります。
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リフォーム・リノベーション後に売る 設備を更新してから売る方法です。買い手の印象は良くなりますが、費用が売却価格に十分反映されるとは限らないため、かけた費用を回収できるかの見極めが必要です。
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複数の不動産会社を比較して依頼先を選ぶ 旧耐震・築古マンションは、会社によって査定額や売り方の得意・不得意に差が出やすい物件です。一括査定などで複数社の見立てを比べると、自分の物件をどう評価し、どう売ろうとしているかが見えてきます。
どの方法が向くかは、立地・管理状態・急ぎ具合・残債の有無で変わります。「とにかく早く手放したい」なら買取、「時間をかけても高く」なら仲介や証明書取得、というように、優先することを決めてから選ぶと判断しやすくなります。
売却前に確認しておきたいこと
築古・旧耐震マンションを売るときは、物件単体だけでなくマンション全体の状況も確認しておくと、話がスムーズに進みます。
- 管理状況と修繕積立金:長期修繕計画があるか、修繕積立金が計画どおり積み立てられているかは、買い手がもっとも気にする点のひとつです。管理組合の総会資料や重要事項調査報告書で確認できます
- 建て替え・大規模修繕の動き:マンションの建て替えは、区分所有者および議決権の各5分の4以上の賛成という重い決議が必要で(区分所有法62条)、実際に実現する例は多くありません。建て替えや大規模修繕の議論が進んでいる場合は、その段階を把握しておきましょう
- 耐震診断・改修の補助制度:自治体によっては、旧耐震マンションの耐震診断や改修に補助金を設けている場合があります。売却前提でなくても、まず制度の有無を調べておく価値があります
- 税金の特例と要件:相続した物件か、自分が住んでいたかなどによって、使える譲渡所得の特例が変わります。買主側の住宅ローン控除の要件も含め、税制は要件が細かく改正もあるため、具体的な適用は税理士や税務署に確認してください
相続したマンションの場合は名義変更(相続登記)が済んでいないと売却に進めません。手続きの流れは関連記事「相続した家・不動産の売却ガイド」も参考にしてください。空き家のまま管理されていない場合のリスクは「空き家を放置するとどうなる?」で触れています。
自分の状況で取れる選択肢を確かめる
「うちの旧耐震マンション、仲介で売れるのか、買取のほうが現実的なのか」「立地は悪くないが築年数が古い、どう売るのがいいのか」——築古・旧耐震マンションの売り方は、立地・管理状態・残債・相続の有無といった条件の組み合わせで答えが変わります。
家じまい診断では、物件の種別・所在地・築年数・ローンの状態などにいくつか答えるだけで、あなたの物件で売却の難易度がどのくらいか、どんな選択肢・相談先が向いているかの傾向を無料で確認できます。氏名や連絡先の入力は不要です。古いマンションの扱いに迷っている方は、まず現状の整理から始めてみてください。
※本記事は2026年6月時点の情報をもとに作成しています。耐震基準・住宅ローン控除・区分所有法などの制度は改正されることがあり、適用は個別の事情によって異なります。住宅ローン・税金・耐震の具体的な取り扱いについては、金融機関・税理士・建築士などの専門家、または管轄の窓口にご確認ください。
※ 本記事は一般的な情報の提供を目的としたものであり、個別の物件の評価や税務・法務のアドバイスを行うものではありません。具体的な判断にあたっては、宅地建物取引業者などの専門家にご相談ください。