再建築不可の家は売却できる?役所での確認手順と、建て替えできる土地に変える方法・そのまま売る方法
公開日: 2026年6月12日 更新日: 2026年10月27日
不動産会社に実家の相談をしたら「この家は再建築不可なので、なかなか売れませんよ」と言われた。そんな経験から、このページにたどり着いた方も多いと思います。
先に結論を書くと、再建築不可の家でも売ることはできます。ただ、普通の家と同じ売り方をすると買い手がほとんど現れず、長く売れ残りやすいのも事実です。この記事では、そもそも本当に再建築不可なのかを確かめる手順から、建て替えできる土地に変える方法、そのまま売る場合の相手と注意点までを順に整理します。
道路に接している部分(間口)の正しい測り方や旗竿地の話は、間口2mの家・旗竿地は売れるのか?で詳しく書いています。
再建築不可とは、接道義務を満たしていない土地のこと
建築基準法43条は、建物の敷地が「道路」に2m以上接していなければならないと定めています。これを接道義務といいます。ここでいう道路は、同法42条で定められた幅員4m以上の道路が原則です(建築基準法 e-Gov法令検索)。
接道義務を満たしていない土地では、新しく家を建てるための建築確認が原則として下りません。今ある家に住み続けたり、貸したりすることはできますが、壊してしまうと同じように建て直すことができない。これが「再建築不可」と呼ばれる状態です。
よくあるのは次のようなケースです。
- 道路に接している部分の幅が2mに足りない(旗竿地の通路部分が細いなど)
- 目の前の道が、見た目は道でも建築基準法上の道路として扱われていない
- 周りを他人の土地に囲まれていて、道路に接していない
注意したいのは、幅4mに満たない狭い道でも、42条2項の道路(いわゆる2項道路、みなし道路)に指定されていれば話が変わる点です。この場合は道の中心線から2m下がった線が道路の境界とみなされるので、その分だけ敷地を後退させる(セットバックする)ことで建て替えができます。狭い道に面しているから再建築不可だ、とは限りません。
なぜ売りにくいのか。住宅ローンを使える買い手が少ない
再建築不可の家が売りにくい一番の理由は、買い手が住宅ローンを組みにくいことです。
たとえば住宅金融支援機構の【フラット35】は、技術基準として「住宅の敷地は、原則として一般の交通の用に供する道に2m以上接すること」を求めています(【フラット35】新築住宅の技術基準の概要)。民間の金融機関も、建て替えのできない土地は担保として評価しにくく、融資に慎重になるのが一般的です。
マイホームを買う人の多くは住宅ローンを使います。その人たちが買えないとなると、残るのは現金で買える個人や投資家、こうした物件を扱う不動産会社に限られます。買い手の数がぐっと少ない中で売るので、価格は再建築できる近隣の物件より低くなりやすく、売れるまでの期間も読みにくくなります。
査定サイトで出た金額をそのまま売り出し価格にしたら、何か月たっても問い合わせがない。再建築不可の家では、こういうことがよく起こります。値付けの前に、次の確認を済ませておくのが近道です。
まずは市区町村の窓口で「本当に再建築不可か」を確かめる
再建築不可かどうかは、見た目では判断できません。物件のある市区町村の建築指導課(建築審査課、建築安全課など名前は自治体によって違います)で確認できます。地番がわかる資料(固定資産税の納税通知書や登記事項証明書)を持って行くと話が早いです。
窓口で聞きたいのは次の3点です。
- 前面の道が建築基準法上の道路か。道路なら42条の何項にあたるか
- 2項道路の場合、セットバックが必要な位置はどこか
- 道路に当たらない場合、43条2項の認定や許可を受けられる見込みがあるか
多くの自治体は、道路の種別を示した指定道路図をインターネットで公開しています。事前に見ておくと、窓口での相談がスムーズです。また、法務局で公図や地積測量図を取っておくと、接している長さを確認するときの手がかりになります。
この確認だけで、評価ががらりと変わることがあります。「再建築不可だと思っていたら2項道路だった」「許可の実績がある通路だった」とわかれば、建て替えのできる土地として売れる可能性が出てきます。
建て替えできる土地に変える方法
本当に接道義務を満たしていないとわかった場合でも、すぐに「そのまま売る」と決める必要はありません。条件によっては、建て替えできる土地に変えてから売ることができます。
セットバックで2項道路の条件を満たす
前面の道が2項道路なら、道の中心線から2mの位置まで敷地を後退させれば建て替えができます(道の反対側が崖や川になっている場合や、自治体が別の距離を指定している場合は、後退の仕方が変わります)。後退した部分は道路として扱われ、建物や塀は建てられません。敷地は少し狭くなりますが、建て替えできる土地として普通に売り出せるようになります。
43条2項の認定・許可を受ける
建築基準法43条2項には、接道義務の例外が2つ用意されています。
1号の認定は、幅員4m以上で国土交通省令の基準に合う道に2m以上接している敷地で、延べ面積500㎡以内の一戸建て住宅などについて、特定行政庁(建築確認を行う自治体)が支障がないと認めるものです(建築基準法施行規則10条の3)。
2号の許可は、敷地の周りに公園や広場などの広い空地がある、道路に通じる十分な幅の通路に接しているといった基準に合う建物について、特定行政庁が支障がないと認め、建築審査会の同意を得て許可するものです。以前は「43条ただし書き許可」と呼ばれていました。
どちらも、基準の細かい中身は自治体ごとに定められています。大阪市のように認定・許可の取扱要綱を公開している自治体もあります(大阪市 接道規定に係る特例の認定・許可)。許可はあくまで建てる計画ごとに審査されるもので、「この土地は今後ずっと建て替えてよい」というお墨付きではありません。売るときは、過去に許可を受けた実績や、窓口で聞いた見通しを買い手に伝えることになります。
なお【フラット35】は、43条2項2号の許可を受ける敷地などは融資の対象になるとしています(【フラット35】よくある質問)。許可の見通しが立つかどうかで、買い手の幅が変わるということです。
隣の土地を一部買う・借りる、または等価交換する
道路に接する幅があと数十cm足りない、というケースでは、隣の土地の一部を買い取るか借りることで2m以上の接道を確保できる場合があります。
お金のやり取りを抑えたいなら、等価交換という方法もあります。自分の土地の一部と隣の土地の一部を、価値が釣り合うように交換して、お互いの使い勝手を良くするやり方です。どちらも測量や登記の費用がかかり、何より相手の協力が必要なので、時間には余裕を持って進めてください。
そのまま売る場合の相手は3つ
建て替えできる土地に変えるのが難しい場合や、時間や手間をかけられない場合は、再建築不可のまま売ることになります。主な売り先は3つです。
隣の土地の所有者
最初に声をかけたいのが隣の所有者です。隣の人にとっては、あなたの土地を合わせることで敷地が広がり、場合によっては自分の土地の接道条件や形が良くなります。市場では買い手のつきにくい土地でも、隣の人にとっては価値がある、ということは珍しくありません。
ただし相手の都合もあるので、断られることも含めて、ほかの売り方と並行して考えておくのが現実的です。直接の交渉が難しければ、不動産会社に間に入ってもらうこともできます。
仲介で一般の買い手を探す
不動産会社に仲介を頼み、現金で買える個人や投資家を探す方法です。リフォームして住みたい人や、賃貸に出したい人が買い手になります。時間はかかりがちですが、条件の合う買い手が見つかれば、買取より高く売れる可能性があります。再建築不可の取引に慣れた会社を選ぶことが大切です。
再建築不可を扱う買取業者
時間をかけられない、遠方に住んでいて何度も通えない、建物の傷みが激しい。こうした事情があるときは、再建築不可の物件を専門に扱う買取業者に売る方法があります。価格は仲介で売れた場合より下がるのが普通ですが、短い期間で、家財が残ったままでも引き取ってもらえることが多いです。
買取と仲介のどちらが合うかは、不動産の「買取」と「仲介」の違いで比べ方を書いています。維持費や固定資産税を払い続ける期間も含めて、手元に残るお金で比べてみてください。
2025年4月から、リフォームで活かす道は狭くなった
再建築不可の家は、建て替えはできなくてもリフォームはできます。そのため、直して賃貸に出したり、買い手がリフォームして住んだりするのが、これまでの典型的な活用法でした。
ところが2025年4月に建築基準法の改正が施行され、木造2階建ての住宅などは「新2号建築物」になりました。これにより、柱や梁、壁などの主要な構造部分の過半を直すような大規模な修繕・模様替えにも建築確認が必要になっています(国土交通省 建築確認・検査の対象となる建築物の規模等の見直し)。
再建築不可の家は接道義務を満たしていないため、建築確認が必要な工事は原則として難しくなります。つまり、木造2階建ての再建築不可物件で、骨組みだけ残して全面的に作り直すようなリフォームは、以前より現実的ではなくなりました。
一方で、国土交通省の資料では、キッチンやトイレ、浴室などの水回りだけのリフォームや、手すり・スロープの設置は、これまでどおり建築確認が不要とされています。屋根材だけの張り替えや、既存の屋根に新しい屋根をかぶせるカバー工法も、大規模な修繕・模様替えには当たらない扱いです(国土交通省 木造戸建の大規模なリフォームに関する建築確認手続について)。また、平屋で延べ面積200㎡以下の住宅は「新3号建築物」として、大規模な修繕・模様替えに建築確認は必要ありません。
買い手はこうした工事の範囲を前提に収支を考えます。建物の構造や階数は、売るときに必ず伝わるようにしておきましょう。
解体する前に、必ず確認を
最後にひとつだけ。再建築不可の家は、建物を壊すと新しく建てられません。古い家だからと先に解体してしまうと、使い道の限られた更地が残り、かえって売りにくくなるおそれがあります。
解体を考えている場合も、まずは市区町村で接道の状況を確かめてから判断してください。解体の費用や注意点は家の解体費用はいくらかかる?にまとめています。
どの道を選ぶかの目安
時間に余裕があり、役所や隣の人とのやり取りが苦にならないなら、まず建て替えできる土地に変える方法を探り、それが難しければ隣の人への売却、次に仲介、という順で考えるのが基本です。遠方に住んでいる、維持費が重い、相続の整理を早く終わらせたいという事情があれば、買取で早さと確実さを取るのも十分合理的な判断です。
どちらが向いているかは、接道の状況や立地、建物の傷み具合と、あなたの時間や距離の事情の組み合わせで決まります。当サイトの「家じまい診断」では、6つの質問でお持ちの家の売りやすさと選択肢の傾向を無料で確認できます。役所に行く前の状況整理に使ってみてください。
関連記事: 間口2mの家・旗竿地は売れるのか? / 空き家を放置するとどうなる? / 実家じまい完全ガイド
※本記事は不動産の売却・活用に関する一般的な情報提供を目的としており、個別の物件の査定や売買の媒介を行うものではありません。再建築の可否や認定・許可の見通しは、必ず管轄の特定行政庁(市区町村の建築指導担当課)でご確認ください。
※ 本記事は一般的な情報の提供を目的としたものであり、個別の物件の評価や税務・法務のアドバイスを行うものではありません。具体的な判断にあたっては、宅地建物取引業者などの専門家にご相談ください。